自動車業界で培った品質基準に基づき、あらゆる業界の吹付塗装品を高品質に仕上げます。

工業吹付塗装.com produced by藤塗装工業株式会社

ご相談・お問合せ

TEL.0566-41-4085

営業時間 / 平日8:00〜17:00

ご相談・お問い合わせ
技術資料ダウンロード
塗装技術コラム

塗装品質を「数値」で管理する、検査項目と合格基準の決め方

「塗装がきれいに仕上がっているか」を判断するのは、実は目視だけでは不十分です。膜厚は規定の範囲に収まっているか、下地としっかり密着しているか、屋外で使えばどれだけサビに耐えられるかなど。こうした品質は、明確な検査項目と数値基準があって初めて客観的に評価できます。本コラムでは、塗装の品質基準を「外観」「塗膜性能」「耐久性」の3つに整理し、それぞれの検査方法と、図面や仕様書への落とし込み方を解説します。

日常試験と信頼性・耐久性試験の違い

塗装の品質基準は、大きく2つの目的に分けて実施するのが一般的です。

  • 日常試験:日常的な検収(ロットごとの抜き取り検査)で行う、納品のたびに確認する項目
  • 信頼性・耐久性試験:新規立ち上げ時や定期監査で行う、製品が実使用環境に耐えられるかを確認する項目

この使い分けを理解しておくことが、無駄のない品質管理の第一歩になります。

① 外観(見た目の品質)

表面に塗装特有の不良がないか、目視チェック(または限度見本との比較)によって確認します。代表的な不良には以下のようなものがあります。

  • ブツ、ゴミ:塗料に混入した微細なホコリ、浮遊ホコリ、ライン上落下ブツ
  • タレ:塗料が厚すぎて下方に流れて固まった跡
  • ハジキ、ピンホール:油分などが原因で、塗料がクレーター状に弾けた穴
  • 肌荒れ(ゆず肌):表面がレモンの皮のように凸凹している不具合
  • スケ(隠蔽不良):塗膜が薄すぎて、下地(金属の色など)が透けて見えている状態

② 塗膜性能

組み立て時や日常使用で、塗装が簡単に傷ついたり剥がれたりしないかを評価する項目です。

膜厚測定試験

「電磁式・渦電流式膜厚計」と呼ばれる小型のセンサーを塗装面に当て、塗装の厚み(μm単位)を測定します。図面指示通りの厚みが確保されているか、寸法公差を外れていないかを確認するのが目的です。

密着性試験(碁盤目・クロスカット)

塗膜にカッターで縦横1mm(または2mm)間隔の切れ目を入れ、100マスの碁盤目を作ります。その上に規定の粘着テープをしっかり貼り、一気に引き剥がして何マス剥がれずに残ったかを評価します。塗装が下地にしっかり密着し、ペリペリと剥がれてこないかを確かめるための試験です。

※製品そのものを傷つけたくない場合は、同じ条件で塗った「テストピース(試験板)」を同時に塗装し、それを用いて試験します。

塗膜硬度

JIS規格に基づき、規定の硬さの鉛筆(4B〜6Hなど)を押し当てて表面を引っかく「鉛筆引っかき硬度試験」が一般的です。「Hでキズなし」「2Hでキズ発生」なら、この塗装の硬度は「H」と判定されます。

③ 耐久性(環境への強さ)

製品が実際に使われる環境に耐えられるかを評価する項目で、量産前の「初期評価」や「定期試験」でよく用いられます。

耐食性・防錆性試験(塩水噴霧試験)

35℃に保たれた試験機の中に製品を入れ、5%の塩水を噴霧し、数百〜数千時間連続で浴びせ続けます。あらかじめカッターで「×(クロスカット)」のキズを入れておき、そこからどのくらいサビが広がるかも観察します。屋外や沿岸部で使用した際の「防錆性(サビにくさ)」を評価するための試験です。

図面や仕様書に落とし込む際のポイント

量産品の図面に書く場合は、「どのレベルを合格とするか」を1行で明記するのがスマートです。

【図面への記載例】

・膜厚試験:15μm〜または15μm〜25μmであること
・耐食性:◯時間以上であること
・硬度:鉛筆硬度試験においてH以上であること

すべての項目を毎回検査するのは現実的ではありません。以下のように、検査のタイミングで項目を使い分けて基準書を作ると、コストを抑えつつ確実な品質管理ができます。

  • 毎回の納品(全数・抜取検査):外観/膜厚/密着性(テストピース)
  • 最初の試作・仕様変更時のみ:耐食性(塩水噴霧)/硬度

まとめ

塗装の品質は、感覚ではなく「数値」で管理することが、手戻りやクレームを防ぐ最短ルートです。外観・塗膜性能・耐久性という3つの軸で検査項目を整理し、検査頻度にメリハリをつけることで、品質と コストのバランスが取れた管理体制を作ることができます。

おすすめの記事

焼付け塗装は「炉に入れて熱をかければ終わり」ではありません。温度や時間がわずかにずれるだけで、硬化不足による密着不良や、逆に熱をかけすぎたことによる黄変・ひび割れといった不具合が発生します。本コラムで...

「同じスプレー塗装だから、屋内用も屋外用も大差ないだろう」は誤解です。屋外部品に求められる塗膜性能はまったく異なり、それを満たす二液型塗料をメラミンラインに流すと、生産効率・設備運用・安全管理のすべて...

「色はお任せします」という一言が、現場では思わぬ結果を招くことがあります。色指定が曖昧なままだと、現場は使用環境や色彩、色調を判断できず、結果として「在庫色で塗る」という選択になりがちです。本コラムで...