屋外使用部品に求められる塗膜性能
屋外で使用される部品は、紫外線、雨、寒暖差といった過酷な自然環境に日々さらされ続けます。そのため、劣化を防ぐためのベースとなる、以下の3大性能が求められます。
- 耐候性:紫外線、雨、温度変化による劣化(色あせ、ひび割れ、チョーキング)に耐える性能です。これが低いと、わずか数年で塗膜がボロボロになってしまいます。
- 防水性、耐水性:主に雨水の浸入による下地の腐食を防ぐ性能です。
- 密着性:夏の炎天下と冬の厳寒期といった過酷な温度変化で素材が伸縮しても、塗膜が剥がれずに追従する強さです。下地との密着が悪いと、すぐに浮きや剥がれが発生してしまいます。
これらの性能を十分に満たすためには、屋内用の一液型塗料では力不足となるケースが多く、二液型ウレタン塗料のような、より高性能な塗料が選ばれることになります。
二液型塗料がラインコストを押し上げる理由
通常のメラミン塗装ラインに「2液型ウレタン塗料」を流すのは、一見「同じスプレー塗装だからそのまま塗れるのでは」と思われがちですが、実は生産効率・設備運用・安全管理のすべての面でコストを押し上げる要因になります。主な理由は、以下の4点です。
1.「時間」との戦いによるロス(可使時間・ポットライフ)
メラミンなどの1液型塗料は、焼付け炉(130℃〜150℃前後)に入るまで固まりません。しかし2液型ウレタンは、主剤と硬化剤を混ぜた瞬間から化学反応が始まり、時間の経過とともにドロドロに固まっていきます。これを可使時間と呼びます。まとめて作り置きができないため、生産量に合わせてこまめに調合(計量・攪拌)する必要があり、人件費がかかります。塗装中に何らかの問題が発生すれば、すでに混ぜてしまった塗料はそのまま固まって使えなくなり、廃棄ロスも発生します。さらに作業終了時には、スプレーガン内で塗料が固まらないよう、シンナーで完全に洗浄する必要があり、この手間と溶剤の消費量もコストを直撃します。
2. 静電塗装が使えない
圧送式ポンプを使用した静電塗装は、配管やガン内で塗料が固まってしまい、完全に綺麗な洗浄が難しいという問題があります。メラミン用のライン(1液専用ガン)であるため、効率の良い静電塗装は行えず、重量式スプレーガンでの対応となり、塗装を完成させるまでに余分な時間を要します。
3. 乾燥プロセスの不一致(焼付け炉のエネルギーの無駄)
メラミン用に設定された160℃の高温炉にそのまま2液ウレタンを通すと、表面だけが急激に乾いてしまい、わきや黄変、クラックの原因になります。かといってウレタンのために炉の温度を下げると、その間はメラミン製品を流せなくなり、炉の温度を上げ下げする時間とエネルギーロスが非常に大きくなります。生産の最後に塗装段取りを組むと、高温から適温に下がるのを待つ時間も必要になります。
4. 塗膜の「異物混入」リスクと段取り替え
同じ配管やガンを共有する場合、メラミンとウレタンが完全に混ざり合わないよう、切り替え時の洗浄を完璧に行う必要があります。もしウレタン成分が微量でもメラミン塗料に混入すると、通常のメラミン塗装時にツヤが引けたり、ブツが発生したりする品質不良を引き起こしてしまいます。
屋内使用部品は一液型で十分なケースが多い
屋内で使用する製品であれば、基本的には1液型の塗料で十分なケースがほとんどです。ただし、「使用環境がどのくらい過酷か」によっては例外もあるため、一律に決めつけず、実際の使用条件を確認することが大切です。1液型には、屋内用途において多くのメリットがあります。
- 手軽さ:使い切れなかった分も保管して後日使用できます
- 十分な耐久性:最近の1液型塗料は品質が非常に向上しており、日常的な傷や汚れからもしっかり製品を保護してくれます
屋内用途では、耐候性などの厳しい性能よりも、美観や視覚的な仕上がりが求められるケースの方が圧倒的に多く、塗料の取り扱いも2液型に比べて圧倒的に管理しやすいというのが実情です。設計・調達段階で「屋内か屋外か」を明確にしておくだけで、最適な塗料選定とコスト管理につながります。具体的に「〇〇に塗りたいんだけど」という対象があれば、その用途に最適な塗料の種類をご提案させていただきます。



